冷蔵庫を買ったポイントと1,500円オフのクーポン、あと年に一度あるかどうかの単価の高い受注があったので、以前から関心があったこのフルデジタルアンプを衝動買いしてしまった(反省している)。これは、手のひらに載るような軽量にもかかわらず、ブラインド比較テストで50万円超のアナログアンプに勝ってしまった伝説のアンプです。
高校生の頃からオーディオの夢を見る人間でした。そして憧憬の対象はスピーカーよりもアンプ。当時はアンプこそがオーディオのキモという風潮が瀰漫。今思えば利益の上がりやすい機器を必死に売っていただけだと思うけれども。
実のところ、アナログアンプの性能は90年代初頭には完全に伸び悩んでいました。そこでアンプメーカーは、ほとんど聞き分けられないような微細な改良を大々的に宣伝したり、所有することがステータスになるような豪華な外観にお金をかけたりして、当時の「小金持ち」層には飛ぶように売れていたのです。
しかし、さすがに消費者もいつまでも騙されるわけではありません。バブルが崩壊して8年ほど経つ頃には、高級オーディオはぱったりと売れなくなってしまいました。
その結果、市場は二極化します。富裕層はまるでロレックスでも買うかのように超高級オーディオを買い漁る一方、一般の所得層の間では「オーディオはもう無理して買うような趣味ではない」という空気が定着してしまったのです。
現在では、ごく一部の富裕層や、お金に糸目をつけない層を相手にしたニッチな市場だけが残っているのが実情です。それ以外では、懐古趣味の人たちが、コンデンサなどが劣化しきっているであろう80年代後半の「銘器」と呼ばれたアンプやスピーカーを、コレクション感覚で買い集めている、といった状況になっています。
理論上は瑕疵のない安価なD級アンプ
この場合の「D」は劣っているという意味のDではなくデジタルのDです。内部処理を最終段までフルデジタルでおこないスピーカーに出力するというタイプです。D級アンプが音源がデジタルである現代では理想であるとは、実は皆知っていました。しかし、それを喧伝するとROLEX的な価値観で高額販売している高級オーディオの市場が瓦解してしまいますので、長らくオーディオ界隈の人は「見て見ぬ振り」をしていました。
そういうわけで、この入手価格が1万円を割っている中華アンプは綺麗な音を奏でてくれます。フルデジタルなのでSNが特に良いです。これは音楽管理を多くの人がPCでおこなうようになった現在では実に理にかなっています。逆にいえばアナログアンプはPCのノイズを拾いやすいのです。
上記が事実な証拠には、中価格帯のアナログアンプが既に市場から消えていることが挙げられます。ティアックの一機種しか残っていなくて、それもまた長らく同じものを売っています。自宅で手軽に高音質が楽しめる時代の恩恵に我々はもっと気づくべきです。

