マーク・ルイソンの本が出て新事実の具体例が表出してきた。一番大きな歴史の書き換えは「ジョージ・マーティンはビートルズに全然乗り気ではなく二回ダメ出しをして、三回目で受け入れたのもEMIの社内抗争の結果だった。」だろう。ビートルズとの契約はデッカレコードの方がよほど前向きで、EMIはダメ出しの連続だった。ジョージ・マーティンが英国紳士だなとおもうのは、引き受けた限りは最高の仕事をしてビートルズの潜在力を最大限に引き出そうとしたことだろう。その後の大成功を鑑みればマーティンの功績に些かもキズがつくわけではないが、EMIとの契約が成立した理由は彼の慧眼ではなかった、そんな事実は全くなかった、彼は社内抗争で負けて上長からの懲罰的な意味を含めてビートルズを押しつけられた。この事実を書籍にするためマーク・ルイソンはジョージ・マーティンの逝去を待っていた可能性もある。
あとブラアン・エプスタインからの接触で一番警戒感を露わにしたのがポール・マッカートニーだったというのも面白い。解散の大きな理由がエプスタイン没後のマネージャーの人選でポールと他のメンバーの対立だった。デビュー前時点で既にポールの人間観にジョンやジョージとの隔たりがあったというのは興味深い事実だ。
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