タナトス(死への欲動)はエロスとは反対の概念だとおもっていた。しかし今日読んだ本で間違いに気がついた。反対ではなくて「エロスを満たせるなら、滅んでしまっても構わない」そういう表裏一体の欲動だったのだ
無に帰るためには生の証を現世に遺していかなくてはならない。生物は遍くそのように運命づけられて生を受けたのだ。だから僕はエロスからだけでなくタナトスからも離れたところに存在しているというのが、正しい自己認識なのだろう。エロスを否定したタナトスは欺瞞であり質の悪いルサンチマンに過ぎない。
恋愛の解剖学―エロスとタナトス (1997/11) 寺田 操 |