術後半月ぐらいは左手が不自由になるので、それに備えて準備をしている。件の「ゆっくりメソッド」でジリジリと部屋を片付けている。
片付け・掃除で好きな瞬間がある。ある臨界点を超えると「整った感、清潔感」が急に表出してくる。この気持ちよい瞬間があるから、モチベーションが保てるのかもしれない。ここを超えると、あとはやればやるほど美しくなる。今日中に出来るところまでやりたい。術後戻った居住空間が汚れて散らかっていると抑うつが酷くなるのが自明だ。
今日のBGM、ハイレゾリマスターの恩恵を珍しく強く感じる音源だ。長らくアナログ落としのカセットテープを聴いていたから当然か。これを愛聴するようになった切っ掛けはハッキリと覚えている。愛読していたFM雑誌に「音のアトリエ」という読者訪問コーナーがあり、手持ちのオーディオが収まった部屋の写真と共に愛聴盤を一枚紹介するという興味深いものだった。
その人は、春から秋は農家の片隅で寝起きして農業補助で生活の糧を稼ぎ、冬はスキー場に居住地を移して、現地でインストラクターとして、冬の間中滑りまくっている、そういう自由人だった。羨ましいとは微塵も思わなかったが、彼が慎ましいオーディオ装置で繰り返しこのアルバムを聴いているエピソードが印象に残った。「聴けば聴くほど味わい深いスルメのようなレコード」そんな紹介だった気がする。
そして、まさにその通りの音源で、第一印象は「垢抜けない」だったけれど、すべての音に魂を込めた丁寧なスタジオワークの職人技が光る、まさに燻し銀のような名盤だ。特にThe Weightは必聴。