天空団地_404

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病識・頑なさ

妄想性障害の人に統合失調症らしい表情がみられないこと|kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

統合失調症が恐ろしいのは「病識の欠如」だ、自分が病気であるという自覚がまったくない。そのことを指摘すると、逆に自分が感じたことがいかに本当であるかを熱心に語り始める。その頑なさは、ちょっと信じられないレベルだ。

電波とか囁きとか集団ストーカー等の妄想なら外部から病気だとわかりやすい。判りにくいけれども、事実関係を調べれば、明らかな妄想だったという事例もある。妄想のレベルにも病気の重さと同等に軽重が当然あって、軽度だと統合失調症と関連づけるのは無理がある場合もある。

妄想とはいえないが、ある種の情報を病的に頑なに信じる人たちは世の中に普通にいる。信念と妄想は当然違うものだが、度の過ぎた信念は妄想と区別がつかない。人は何かを信じて生きていくように設計されており、程度の差はあるものの、万人に頑なさを伴った信念が備わっている。それが極端になりすぎたら精神疾患と見なされるのだろう。

思想的に極端な人たち(右でも左でも)にリスパダールとかを定期的に服用させてみたい。ひょっとしたらある種の頑なさが柔らかくなるかもしれない。

病的な頑なさというのは、大抵なにかを敵判定する基準において生じる。人は一度敵判定した対象に対して武装解除することは滅多にない。100の好意を与えられても一度の敵意の方を重視する。これも程度の差こそあれ誰でもそうだろう。人の理性というのは危険を排除するために発達してきたのだから。

過度に自棄的なうつ病の人たちも「自己評価の異常な低さ」については異常に頑なだ。頑なさが内に向かうか、外に向かうかだけの違いしかない。ある種の向精神薬が異常に汎用性が広く統合失調症にもうつ病にも効いたりするのは、精神疾患には同根の部分があることを示唆している。

「弱さ故の頑さと、それを自明とした世界認知の歪み」は心に闇を抱える人の共通項なのである。