メンヘラという俗語は「精神疾患者」と「人格障害者」の二つを内包した差別的/自虐的ニュアンスのある言葉だ。
精神医療の超先進国の米国ではメンヘラを治療するにあたって常に念頭にある概念があるそうだ。それが「シュリンク【shrink】」という縮ませる、縮小させるという単語だ。
「心を病む」というのは「生産性のない・自虐的・弁明的・憤怒的といった無駄な言葉で脳内が膨れ上がっている状態」を汎用的な定義としている。これはうつ病・統合失調症から人格障害、一部の発達障害にまで広く使える概念だという。
考えても役に立たないこと、もっといえば脳の混乱を加速させる思考・言葉が脳内に横溢しているのが「心を病む」の正体だということだ。
これは個人的体験から帰納して、実に本質的な定義だと腑に落ちる。己をさらに不幸にする、傷つける、他者を不快にする、そういった思考で脳がパンクしそうな人がメンヘラなのだ。
脳内物質の不均衡でそういう状態に陥りやすいのが精神疾患で、生きてきた履歴に由来する歪な思考で脳内が膨満しているのが人格障害。
うつ病は自責思考、統合失調症は他責思考と被害妄想、人格障害も多くは過度の他責思考と因果思考で脳内がパンクしそうになっている。
不毛な思考が脳を支配している限り、安らぎはない。確かにその通りだと思う。