天空団地_404

You play with the cards you’re dealt… Whatever that means.

静けさの瘴気

散らかっていると言うほどではないが、部屋はどこかしら乱れている。冬服は未だ収納されず、視界の隅に山積みとなっている。机上には一月以上手をつけていない本が幾冊も積まれ、重みで微かに傾いている。梅雨入りはまだ先だが、外の空気は湿気を孕んで曇り空が広がっている。

来月の収入には何の問題もなく、体調もここ数年では上々だ。しかし、心の晴れ間は遠く、脳内には瘴気が漂っているかのような不快感が続く。

全てがぼんやりと、次の災難が訪れる前の不気味な静けさを醸し出している。
スピーカーから流れる電子音は、どこの誰が作ったものかも分からぬまま、静かに空間を震わせている。

階下の初老の男性が失踪したらしく、契約解除の通知がドアに貼られていた。虚無感が漂う、5月30日である。