人は誰しも高圧的な態度に怒りを覚えるかといえばそうではない。反発せずに萎縮してしまう人、怒りではなく恐れる人の方が多い。すべて人々が個人の尊厳を第一に考えていては社会が成り立たない。おとなしく羊の心で他者に屈服してしまう人が実は多数派なのだとおもう。
ネット上では皆、個人の尊厳をもって理不尽に怒っているように振る舞っている。しかしそれが現実の世界を映し出したものだと考えるのは浅薄だ。 個人としての尊厳に矜持を持っている人よりも、ひたすら集団の中で子羊として振る舞っている畜群こそがマジョリティなのだ。そして、この落差に気がついて羊から搾取できる人たちがお金を持っている。資本主義の本質はそこなのだ。
私はそうではない、そう思うだろうか? 「この人には負けておいた方が結局楽だ」そういう価値観が深層意識に染み渡っていないと確信できるだろうか?
大衆操作の系譜 (1991/01) 渋谷 重光 |