人は皆被害者だ。一グラムたりとも被害者意識が無い人はいない。いたら聖人だ。この被害意識の量こそ個々人のパーソナリティの決定要素だと仮定してみたい。
被害意識が酷くて、それが事実に基づかない妄想の域まで達した場合、それを「被害妄想」という。妄想の閾値がある水準点を超えると「統合失調症」という病名がつく。病気とまではいかないけれども、被害意識が著しい人たちの一群がある。精神医学的には「パラノイア気質」とよばれる。
ネットは「パラノイア気質」の人たちの拡声器になっているところがある。ネトウヨとかネトサヨとかの常に何かを糾弾していないと気が収まらない人たちだ。同病相憐れむというわけか、パラノイアはパラノイアの言動を異常に気にする。
被害意識というのは「害を被っているという実感がある以上、かならず加害者がいるはずだ」という強い思い込みなのだ。私が害を被っているのは「悪意ある誰かが私に害を及ぼしたからだ」という理路になる。原因を他者の悪意によって説明しようとする傾向が特に強い人たちは、社会の構成員の2割ぐらいはいるのではないだろうか。
人は原因は何かと思考することで文化を築いてきた。しかし原因を他者、とくに他者の悪意に求める傾向が著しい人たちは、社会に貢献することよりも害をなすことの方がずっと多い。何かに対して常に敵意剥き出しの人たちは、社会の安寧や日々の平和に貢献しない、社会の不安要素なのだ。異常者の一群と違って母数が多いから面倒だ。
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