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わかりました あきらめましょう。

私は進歩しない 旅をするのだ

心と体は同じもの

メンタルヘルスの訳は「心の健康」だ。精神疾患も肉体疾患も同じ「健康を目指す」医学の対象である。しかし肉体の健康と心の健康はまったく異質のものとして捉えられがちだ。特にメンタルヘルスを患っている当事者は「心」を特別の領域だとみなし、聖域視しやすい。

「最強の抗うつ薬は筋トレだ」というエントリをよくネットでみかける。それにたいするメンヘラーの反応は「心の病に理解のない典型的な上から目線の間違い」という反発が大半だ。そんな記述をブックマークコメント等でよく目にする。

私も以前は同意見だった。しかし最近「あながち間違っていないのでは」と考えを改めるに至った。心だって肉体から生じているのは間違いないのだから、肉体の状態を変えたら心のありようも変わって当然、そういう考え方の方が理にかなっている。体調がよければ気分がよく、体調が悪ければ心も暗い、心身共に健康な人から見たら当たり前の事実を、当たり前と受け取れるようになった。

医学に特段の関心がない普通の人たちにとって、メンタルヘルスの不調は「心の歪みの表出」であって、歪みの原因は過去のトラウマや人間関係の拗れだと考えている。この原因があって心が病むという因果関係でメンタルヘルスを理解しようとする考え方は非常に一般的だ。そしてメンヘラーを自称する人はその傾向が極端に強い。

同じ状況におかれても心を病む人と病まない人がいる。同じトラウマを過去に抱えていても引きずる人と引きずらない人がいる。その理由を素直に考えれば「生来的な器質の差」が原因だと考える方が医学的には筋が通っている。しかし、メンヘラーの多くは己の器質よりも、自分が被ったトラウマの特殊性・重大性を強調する傾向がある。この傾向は生粋の精神疾患者よりも人格障害者により顕著である。

心を病みにくい職業

アスリートがうつ病を患ってスランプに陥ったり休業したという話は聞いたことがない。心理的影響でプレイに影響が出る「イップス」という用語はあるけれども、うつ病でダメになったスポーツ選手というのは寡聞にして知らない。農業・漁業・職人等の体の動きをお金に換えている人たちも心を病みにくい。

心を病んでしまうのは「事務・企画・研究・創作といった閉じられた空間で座って働いている人たち」が圧倒的に多い。これは私の主観ではなく、統計上的に明らかな事実だ。故に、「閉じられた空間で体を動かさない仕事を継続することこそが心が病む主因・もしくは起因」という考え方には相応の説得力がある。

「今心が苦しいのは過去のトラウマが理由ではなく、今日の体調が悪いからだ」そう理解すると救われる。この考え方を昔の自分に教えてあげたい、そして過去に交流があったメンヘラーつながりの知人にもうまく伝えたい。走ったり、筋肉トレーニングをしたり、終日体を動かしたあと、ホッとして一息ついたときに心がより重たくなるだろうか。もっといえば風呂上がりで体が温まり血行がよくなった状態で、風呂に入る前よりも憂うつになったりするだろうか。

「心の闇」等の用語で、メンタルヘルスを特別扱いするよりも、メンタルヘルスも肉体の健康も本質的には同質なのだ。そう考えるべきだし、そう考えるようにするだけでも、救われる人がかなりいるのでは・・ そんなことを最近よく考えている。