丸5年も一人で働いていると言葉の能力が著しく落ちるようだ。仕事はストックフレーズの繰り返しなので思考力を使わない。すると言語の使用は脳内の独り言に限定されるようになる。脳内言語は同じ思考が続くと言語論理過程をすっ飛ばして結論にたどり着くようになる。こうなるから言語能力が劣化する。
言語能力が著しく拡大するのは対人摩擦を言葉の力によって乗り越えなくてはならない場合だ。そういうときは脳内で多数の言葉が濫立し脳内で激しく論争のシミュレーションが繰り返される。言語巧みな人はたいてい論争の渦中にいる。弁護士とかはその典型だ。
僕の人生の最大目標は「対人摩擦からの逃避」なのは間違いない。それは今のところ成功しているけれども、それに伴う言語能力の劣化は許容しがたい。僕のアイデンティティは一般的な他者よりも言語に依拠する論理体系に寄りかかっている。それが貧困化するのは自我の劣化に等しい。
かといって不毛な論争が生じている場所にノコノコ出ていく気はない。諦めるしかないのか
- 作者: ジャックデリダ,Jacques Derrida,合田正人,谷口博史
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 2013/12/24
- メディア: 単行本
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