某大学の社会学部卒だ。卒業しながら、未だに社会学に対する違和感と不信感が拭えない。当時(今もかもしれない)社会学の学問的存在意義に関する説明で頻繁に参照されていたのが「デュルケームの自殺論」だ。個々の主観を超えて統計的に社会を俯瞰すれば「客観的な真理が明らかになる」というのが、社会学の立脚点だとされてきた。
社会学者、査読論文出してなくても教授になれるし、招待論文(依頼論文のこと?)があれば査読論文無しでも良いらしい問題(いろいろ追記有り) - Togetter
統計を恣意的に扱うことの問題点については、さんざん議論されてきた。にもかかわらず、問題の本質はなんら解決されずに、社会学という学問分野で飯を食う大学教授・助教授・教員だけが増える結果になった。
僕が教えを請うた教授や講義内容に感心した教授・助教授たち、あれから30年近く経っても彼らの社会的な知名度は上がらず、商業出版さえできずに馬齢を重ねた。社会学部という小さなコミュニティで、学問ごっこをやっているとしかみえない状況で、ここまで来てしまった。お世話になっていながら、こんなこというのも何だが、あんなのが学部長って冗談かなともおもう。
結局このフィールドから出た最大のヒーローが、宮台真司だというところに、社会学の限界が顕れている。さすがに宮台教授の知見には感服するところも多いけれども、何だかなぁと感じるところも同じぐらいある。
個々人の主観とは一歩距離を置いて、社会を概観するのが、社会学の本質だったはずだ。しかし、今キズナアイで盛り上がっているように、社会学教授を名乗りながら、主観剥き出しの権威主義者が偉そうにしている時点で、学問としては既に終わっている。
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