森見登美彦のファンなので観た。森見先生は文学寄りのエンターテインメント作家なのだが、やたらと作品がアニメ化される。ライトノベル作家でもないのにというか、ないからこそアニメ業界に愛されるのかもしれない。
作画も綺麗であっという間に見終わった感がある。ただ傑作かというと、何となく腑に落ちない。原作未読だったので「少年とお姉さんの夏物語」なのかとおもっていたら、SFに軸足を置いた作品だった。少年とお姉さんの物語でもあるのだけれども。
いろいろ不思議なことが起こるけれども、特に種明かしされることもなく話が進んでいく。背景となる郊外の小綺麗な住宅街の描写があまりにもリアルなので、謎の説明がされないSF要素と若干の齟齬感が拭えなかった。とはいえ、それを気にしなければ楽しめる水準を超えた娯楽アニメだとは思った。
劇場アニメのお約束として有名役者が声をあてている。お姉さん役の蒼井優は適役だった。声優ズレしていない声の演技が嵌まっていた。嵌まりすぎてリアルすぎてSF要素にそぐわない気がしないでもなかったけれども。
主人公の少年がショタ的にもう少し可愛かったら傑作度が上がったかもしれない。観て良かった作品に数えられるけれども、見終わったら綺麗に忘れてしまう引っかかりのないアニメだ。
- 作者: 森見登美彦,くまおり純
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/11/22
- メディア: 文庫
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