映画づいているので、これも観た。原作はノンフィクション史に残る大傑作だったから、それと同じ感動を求めて映画館に足を運んだ。
映画作品というよりも役者が演じた疑似ドキュメンタリーだった。下手な役者は一人もいなかった。棋士もその人に見えた。台詞にも不自然なところはなかった。だからこそ、劇場公開作品として、どうなのかという違和感がどうしても残る。将棋界のA級に留まることの難しさ、羽生と互角の戦績がどれだけすごいことなのか、それらの知識を前提として描かれる劇場作品というのは何かおかしい、テレビのドキュメンタリーで十分ではないのか。
2016年公開の映画としては画面が暗い、昭和的な雰囲気を出したかったのは理解出来るが、映像の解像度も低くカメラワークもチマチマしている。やたらと心象風景描写に時間を食うのも気にくわない。もっと村山の病苦が伝わるような表現も観たかった。
というわけで個人的には評価が低い作品だ。
映画を観るよりは原作を読んだ方が間違いなく感動はずっと上だ。
- 作者: 大崎善生
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2015/06/20
- メディア: 文庫
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