「村上春樹のレトリックに影響されすぎ」なテキストが嫌いだ。
よくネタにされる初期のレトリックだけではない。一見オリジナルのように見えても、すぐに匂いで分かってしまう。英語のレトリックを村上春樹の才能というフィルターを経由して表したものとでもいえようか。どんなにオリジナリティを気取っても、修辞の発想が日本語の感覚には根ざさないものなのだから、それを表層的に真似たものは簡単にバレてしまう。地に足がついていない文体は気持ち悪い。
文学賞において、最初の数行を読んで村上春樹のレトリック臭のするものは、それ以上読み進めないらしい。経験則で最後まで読まなくても、底の浅い作品であることが分かってしまうからだそうだ。
- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: アルテスパブリッシング
- 発売日: 2007/09/29
- メディア: 単行本
- 購入: 6人 クリック: 47回
- この商品を含むブログ (115件) を見る