動員100万人を突破したまどか☆マギカの続編ですが、続編の作りようがないと思わせた前作の続きとしては、これ以外に考えようがないという、見事なお話の作りになっています。
綺麗に終わったオリジナルは、まどかが解脱して涅槃に入ることで、少女を悪魔に陥れる仕組み自体を消し去ってしまうという、アニメとは思えない壮大な結末でした。そしてそこまで大きな力を作る原因となったのが、実は何度も時間を遡行してまどかを救おうとして蓄積したほむらの業(カルマ)であった、というのがオリジナルの概要です。
続編は唯一まどかを忘却していないが故に更に業を深めたほむらが、まどかが見いだしたのとは真逆の結論に達して、悪に堕ちる代償に、まどかの一部を取り戻すという内容です。
オリジナルは気づいている人が少ないけれども、仏教思想のエッセンスを魔法少女アニメに擬態させた作品でした。そして続編は仏教思想に対する批判の系譜をそのままアニメに転写しています。シナリオライターの虚淵玄は、続編にて一つの宗教の表裏を暴いて宗教を超越しようと試みています。志が鬼のように深いので、それが作品に深みと芸術性を付加し、多くの人を魅了する傑作となりました。
ほむらの叛逆はこれ以上ないほどの形而上学的神学批判となっています。人間の業の深さを醜いとみるか美しいとみるかは大きな価値観の分かれ目です。それを示唆する力を得たこの作品は後生まで語り継がれることでしょう。