洋楽を評論するときの重要な概念として「ソウル(魂)があるかないか」がある。欧米の音楽ファンには重要な概念で、その感覚を日本で啓蒙しているのがピーター・バラカンさんだ。
個人的にバラカン氏と同じ感覚なのかは判らないけれども、僕の言葉でいえば「霊感の有る無し」に近い。8割ぐらいは重なっていると勝手に思っている。
どういう違いかというとピーターバラカン的には「レッドツェッペリンにはなくて、デレクアンドドミノスにはあるもの」「ジャクソンズにはあって、マイケル・ジャクソンにはないもの」そんな感じだ。感覚的な何かなので言葉に置き換えることはとても難しい。
個人的には「ジョン・レノンに濃厚にあって、ポール・マッカートニーに希薄な何か」という感覚がしっくりくる。昨今の音でいえば「ほとんどのアニソンに決定的に足りない美質」。もっと俗にいうと「長渕剛にあって、佐野元春に皆無な何か」みたいな。
ただこの微妙なソウルの有る無しを聞き取る力は馬齢を重ねるにつれ加速度的に落ちていく気がする。昔は「僕だけの名曲」というのはたくさんあったのに、最近そのリストがまったく増えない。仕方がないことなのだろう。
- 作者: ピーター・バラカン
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