わかりました あきらめましょう。

私は進歩しない 旅をするのだ

メンヘラーへの居付き

17年前の大阪十三の場末メンタルクリニック。旧い木造の2階にあった(今もあるようだ)。待合室は喫煙可で大きな灰皿が堂々と設置してあった。メンヘラーは喫煙者が多い。死んだ目をしてタバコを燻らせながら順番を待った。旧式のガスストーブの暖かな色も覚えている。

医師はやせ細った長髪の温厚そうな人で、患者の話をよく聞くことを信条にしているようだった。精神疲弊で崩壊寸前だった当時の僕にとって、紫煙で煙るクリニックは唯一の心安まる場所に思えた。

あれから17年経って僕は遂にクリニック通いを止めた。いったい何千錠の抗うつ剤を飲んだのだろうか。あれ以降主治医は何回か変わったが、あのクリニックの雰囲気に心が居着いてしまったことは事実だ。それからの僕の人生はろくなものではなかった、新しい原風景を手に入れたいが、この齢では無理なのだろうか・・・