火鉢ぐらいしか暖をとる方法がなかった戦後からしばらく、昭和の文士には冬は仕事をしない一群がいた。尾崎一雄は「冬眠先生」を自称して12月から3月まで、ひたすら怠惰に過ごした。
名声があるから無理をする必要がないというのもあるだろうが、気温が低いと寒さをやり過ごすのが精一杯だったのも事実のようだ。虚弱体質なのにタバコをふかしながら、高齢まで活躍できたのは、ひとえに無理を徹底的に忌避したからだろう。
寒い時期、生産性が落ちても不安にならない経済状態に憧れる。
叶わぬ夢か・・・
- 作者:尾崎 一雄
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