天空団地_404

You play with the cards you’re dealt… Whatever that means.

些事幸福論

飢えず、安心して暖かく眠られる寝床があり、
病に冒されておらず、体に痛い場所がないなら、貴方は幸せである

最低限でも衣食住が保証されていたらイヤイヤ働く必要はない。上記の生存条件が揃っているのに不幸を必要以上に呪詛する奴を俺は信頼しない。承認欲求が満たされないだけなのに、与えられた生存条件のありがたさを忘れて泣き言ばかりいうのは傲慢で爽やかさに欠ける。

その傲慢さに火をつけるのが孤独と退屈だ。孤独と退屈は上記の生存条件が揃って始めて問題になる。腹が減っていたり、安心して寝られなくて寝不足に陥っていたり、ましてや病苦に冒されていながら、孤独と退屈が人生の問題の表層に現れてくることはない。孤独と退屈はその程度の問題だ。

たいていの孤独と退屈は自らの意思で選び取ったものだ。特に対人恐怖や社会恐怖が著しいが故に孤独を選ぶ人は多い。私も少なからずそのタイプで孤独を選んだ。そして孤独な人間は退屈に陥りやすい。退屈とは自分の意思を働かせない限り受動的にはなにも生じないことに他ならないからだ。

逆からいえば退屈を封じれば孤独を感じる暇がなくなる。なにかを食っているとき孤独は感じない。映画に見入っているとき、読書に没頭しているとき、一風呂浴びているときに孤独を感じることは難しい。

とてつもなく邪悪なものに幸せを疎外されている気がしても、それは孤独や退屈を紛らわせる程度で霧散してしまう些末な不快感がその正体だったりする。孤独で退屈な人間が切望しているものは、得られそうな可能性がない大げさな何かではなく、意外と簡単な何かで穴埋めができてしまう些事である場合がほとんどだ。

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