天空団地_404

It all returns to nothing.

怒りには二種類しかない

怒りには二種類ある。二種類しかないともいえる。

  • マウンティング

劣等感を埋め合わせするための感情。他者との優劣を争う場において生じる。進化心理学的には「繁殖相手の争奪戦」における感情が起源といわれている。これがこじれると「嫉妬」「ルサンチマン」といった感情に変幻する。

  • 損得

特に「取り返しのつかない損失を負わされた」と考えると人は冷静ではいられない。どんな温和な犬でも目の前の餌を取り上げようとすると、顔がゆがむ。生きるための競争に勝つために、この怒りは本能にインストールされている。損得とは究極的には「食料の争奪戦」に行き着く。人だけではなく、生きとし生けるもの皆において最も重要な問題だ。食えなきゃ死ぬという自明すぎるほどの自明。

今回のウイルス厄災で普段怒らない人が怒っている。ほとんどが後者の怒りだ。マウンティング系の怒りはニヒリズムに陥ることで消えることがあるが、損得から生じる怒りは人の人生を左右するほどの力を時として持つ。劣等感は尊厳の問題に過ぎないが、損得は生死の問題だからだ。

政治に絡む怒りの応酬は通常マウンティング合戦に過ぎず、ある意味怒りという刺激をもてあそぶ余裕の産物ともいえる。しかし、今回世に瀰漫している怒りは明らかに性質が違う。BCG仮説が幸運にも当たっていて日本であまり人が死ななくても、経済的に詰んだ人たち総数が、ある閾値を超えたら、世の空気は一変するだろう。