天空団地_404

You play with the cards you’re dealt… Whatever that means.

線と円

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線と円の世界観がある。線は西洋的、円は東洋的。線的世界観は過去と現在と未来を一本の線として捉える。円の世界では時空はすべて等価に円の上に乗っていると考える。ニーチェが登場するまで西欧には線の世界観しかなかった。

ニュートン力学の世界では線で問題ない。一神教の世界も始まりがあって終末がある。クラシック音楽もソナタ形式に代表されるように、始めと終わりありきの芸術だ。

東洋的「円」の世界は科学とは縁遠いといわれてきた。しかし量子物理学が発展すると「円」の世界の方がリアリティがあるのではと西洋でも考えられるようになった。相対性理論だって量子コンピュータだって、従来の時間の観念では理解不可能だが、円モデルだと瑕疵なく説明できてしまう。

時は流れない、それは積み重なる

要約すれば円の世界はこういえるらしい。しかも積み重ねても厚みは生じない。二次元の世界に高さはないからだ。

ポストモダン以降、哲学は滞ってしまった。言葉でさえ「差異の戯れ」としていまうと、言葉を構築することによって新たな哲学を創出することは原理的にできないからだ。

哲学が滞っているあいだに量子物理学は原爆・GPS活用・量子コンピュータと実用段階に突入した。シリコンバレーの天才たちが西欧哲学よりもマインドフルネスに代表される東洋哲学に傾倒するのは、量子物理学的世界観と矛盾を起こさないからだ。「存在する・存在しない」という状態が重なっているなんて、線の世界観では理解できない。

円の世界では過去と現在と未来に違いはない。光速になると時間が止まるという相対性理論的にはこちらの方が真理なのだ。同じ皿の上に過去と現在と未来があった場合、どれが一番、美味しいのか、栄養があるのかと考える。「現在・今ココ」が一番美味しい、栄養があると考えるのが、東洋哲学のキモだ。キモがキモたる所以を説明するのは難しい。ただ線の世界観で円の世界を批判するのは的外れだということはいえる。

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