俺はギリギリのバブル入社組に入る世代だ。翌年にはかなり雲行きが怪しくなり、その翌年は大寒波が襲ってきて多くの新卒生が凍死した。
滑り込みセーフ組は人生を謳歌しているのかというと、実はそうではない。特に「バブルだから一流企業に滑り込めた」タイプの人たちの現状は僕の視界に入る限りでも末期哀れな場合が多い。
私が新卒で入った会社は関東ではマーチ、関西では関関同立の私大が8割ぐらいを占めていた。それでも多くの同期が商社やマスコミに入れなかったことを悔やんでいた。それぐらいバブル入社組の価値観は歪んでいたのだ。
氷河期初年度の新入社員は東大京大帝大+早慶ばかりで、一般的には一流とされるマーチ・関関同立さえ入社が難しくなってしまった。営業職は売上の減少もあり新人が配属されず、5年務めたが、とうとう後輩が出来なかった。
バブル入社組と氷河期入社組では明らかに能力も学歴も後者が上だった。結果、出世できず早ければ三十路、遅くとも大半が四十路で子会社へ転籍となった。Facebookで検索しても同期は誰も引っかからない。不本意な社会人生活を送っているようだ。
もちろん同学年の友人の中には頑張った人たちもいて、結構出世したヤツもいた。Facebookでも再会した。しかし、ある時期を境にピタリと書き込みがなくなった。あまり人様の事情を探る趣味はないので体調でも壊したのかと思っていた。しばらくして所属していた会社が業界再編に遭い、保証されていたキャリアも収入も灰燼に帰したと知った。娘二人を中学校から私学に送り込み、配偶者は専業主婦だった彼、今どうしているのかわからない。Facebookのタイムラインも3年前で止まったままだ。
大学の同期を見回しても終身雇用の恩恵にあずかっている奴らは少数派だ。優秀な後輩との出世競争に破れ、転籍ならよく、退職に至った例も少なくない。
中学校の頃、とても仲がよかった某君、時代の空気に流されて中堅の証券会社に入った。入社に際しては蝶よ花よと厚遇されたらしい。しかし、バブルが崩壊して中堅の証券会社のビジネスモデルが崩壊、過酷なノルマに耐えかねて、彼は心を病んで退職した。再就職するには心の傷が大きすぎて、偶にバイトをするぐらいのニート生活が20年近く続いた。今はトラウマを乗り越えてレストランの厨房で真面目に働いている。
氷河期世代は時代に責任転嫁もできる。しかしバブル末期入社組も相当なハズレくじを引いたのだ。氷河期にちゃんと正規雇用された優秀な人材は会社に対する忠誠心が高い。バブル入社組を蹴落とし、相対的にレベルの低い今の50代の経営幹部をフォローしながら、虎視眈々と上を狙っている。重役達はそれを知っているから、地位にしがみつき、既得権益を全力で死守している。現在の大企業の多くはそんな構造になっている。そりゃイノベーションは期待できないよね。
バブル末期入社組も氷河期世代と同様に、こぼれ落ちて堕ちていく先は同じだ。団塊世代の逃げ切り老人は堕ちた連中のことをわかっていない。俺を罵倒した叔父も同類だし、必要以上に俺を不肖の息子扱いする両親とて同類だ(-_-;