昭和の文士、尾崎一雄は冬眠と称して冬場は仕事をしなかった。「無理をしない」が信条の彼は虚弱体質にもかかわらず83歳まで生きながらえた。彼の代表作も老境に入ってからのものだ。
僕も年々冬に弱くなってきた。体を動かすことで今年は乗り切るつもりだったが、風邪が治りきらずフィットネスクラブからも足が遠のいている。背中にカイロを貼り、電気代を費消する赤外線ヒーターをフル稼働させている。
子どもは(母体回帰願望的に)冬眠ごっこが好きだが、初老間近の私は仮死としてのタナトス的冬眠に憧れる。正月の初詣を済ませたら、4月8日の灌仏会ぐらいまで、冬眠が可能ならどれだけ幸せなことだろうか。
- 作者: 尾崎一雄
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1970
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