粗製乱造の傾向が強い声優のアルバムとは違い、父が父だけに関係者もいい加減な仕事はできないと考えたのだろう。打ち込みが多い声優のアルバムとは異なり、生楽器やオーケストラを多用した贅沢な一枚となっている。
名盤である理由
声質
まず牧野由依自身の資質としての「甘く柔らかで聖母性を感じさせる声質」という特徴が際立っている。個人的に彼女の魅力の8割が魅力的な歌声に由来する。子役・ピアニストとして出発しながら、声優を活動のメインに選んだのは彼女の美質の多くがその声に寄るところが大きいからだろう。
菅野よう子・梶浦由記・かの香織といったビッグネームの参加
このようなビッグネームが名前を連ねるのは父の威光ゆえだろう。それぞれ気合いの入った楽曲を提供している。特に、かの香織が提供した「アムリタ」は普遍的な名曲として現在でもラジオのアニソン特集等における定番の一曲となっている。
オムナマグニ(菅野よう子)
アムリタ(かの香織)
ARIAというアニメ作品のメインボーカリストを担当
このアニメは尋常でない熱量でサウンドトラックがつくられている。曲はいずれも美しい世界観に彩られた優しい曲ばかりで、牧野由依の声質にこれ以上ないほどマッチしている。奇跡の邂逅といっても過言ではない。下記以外のウィンディーネ・ユーフォリア・雨降花も素晴らしい。
シンフォニー
アムリタに匹敵する名曲「もどかしい世界の上で」収録
大ヒットアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の後継番組として放映された『N・H・Kにようこそ!』のヒロインを牧野が担当、声優としても嵌まり役であり、2クール目のエンディングテーマの「もどかしい世界の上で」が素晴らしい曲だった。私がこのアルバムを入手する切っ掛けになった忘れられない曲である。
もどかしい世界の上で
奇跡の一枚だった。
全曲名曲というわけではないが、大半の曲が素晴らしく、長らく語り継がれるであろう曲も複数収録されている。様々な条件が重なって一人の声優のアルバムとしてのカテゴリを大きく超越したゆえの名盤となった。