いちばん近くて いちばん遠い世界

よつばと!(14) (電撃コミックス)

よつばと!(14) (電撃コミックス)

数多あるマンガの中で原稿一枚あたりのプレミアムがダントツで高いのがこの作品だ。近年は2年に1冊出るかでないかの発刊ペースなのに、新刊が出るたびに書店に山積みされ、発売自体が社会ニュースになる。老若男女に普く人気があるのも際だった特徴だ。母親にも幼児にもお父さんにも腐女子にもオタクにも愛されている。

ネームにも作画にも量産される他のマンガの100倍ぐらいの集中力が込められている。14巻は特に「絵に語らせる」傾向が強くなった。

細部の描写は異様にリアルだけど、これは「彼岸の世界」を描いた作品だ。理想的な人間関係、清らかな心を持った人しかいない世界。それでいて啓蒙臭が皆無で独特の笑いを誘う微笑ましさが詰まっている。

会社に勤めなくてもよくて、可愛い子供と暮らす日々。心を許せる友人がいて、善良な隣人との家族ぐるみの交流。地縁の残る地域社会。現代社会に生きる我々が得られそうで得がたい幸せが詰まっている。

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これだけ清らかな世界を描いていても嘘くさくならないのは、「よつば」は異国の孤児で義父の慈愛あっての幸せだという、ある種の切なさだ。孤児を引き取って愛情を注ぐ「とーちゃん」はまさに聖人君子なのだけど、それでいて友人の一人にいそうな、ゆるさを併せ持った人物設定が素晴らしい。この作品の真の主人公は彼なのだ

密かに好きなキャラ「綾瀬あさぎ」

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あさぎがとーちゃんに惚れたらいいなぁ~