Bad Boy / The Beatles

今日もジョン・レノンについて書く。ときどきレノン中毒が再発するのだ。

The Beatles - Bad Boy 1965.5.10録音


ジョンの声が太かった最後の時期

ジョン・レノンはよく「デビュー当時が一番歌が上手く、だんだん下手になった」といわれる。これはその通りだとおもう。ビートルズが世界を震撼させた大きな要因がジョンの声だ。デビューした1962年の前半ぐらいまで、ビートルズは休む暇もなく日々、長時間にわたり延々と演奏し歌い続けた。特にドイツのハンブルグでは1日8時間から10時間も演奏しなければならなかった。ビートルズの際だった特徴として「四人ともメインボーカルができる」というのがある。これは一人でこなすには歌う量が多すぎた故の必然でもあった。

そういった過酷な日々がジョンのボーカルを鍛えた。彼のボーカルの特徴は「白人なのに黒い」ということだ。ポール・マッカートニーもリトル・リチャードの真似は上手かったが、それは真似だった。ジョン・レノンは真似ずに己の歌唱力だけで黒人のソウルをある意味黒人以上に黒っぽく歌うことが出来た。

その独特のボーカルのフィナーレを飾るのが、この1965年5月に録音された、このラリー・ウィリアムズのカバーだ。1965年の夏は過酷な全米ツアーで疲弊し、その疲れもとれないまま秋に名盤ラバーソウルが録音されたが、その時のジョンからはこの曲で感じられる猛々しさが消えていた*1

この曲は全米ツアーを控えレコードを一枚でも多く売りたいアメリカのキャピトルレコードの要請に応えて録音された。この翌月にポールがYesterdayを録音した。ビートルズのキャリアの分岐点となる名曲が生まれたことで、ジョン・レノンがロックンロールのカバーを唄う必然性がアーティストとして消えたのかもしれない。

そんなわけで、この曲はロックンローラーとしてのジョン・レノンの若さ故の覇気がダイレクトに録音された最後の曲となった。なんといってもジョンのボーカルだが、ジョージのギターワークも冴えているし、ポールのエレピのアシストもカッコいい、タイトで正確な叩きつけるようなリンゴのドラムも最高。わずか4テイク、時間にして1時間ほどで録音を終えた。ロックンロールのカバーを演じ続けた前期ビートルズのキャリア総決算のような一曲だ。

lyrisc(抜粋)

Buys every rock and roll book on the magazine stand
Every dime that he get is lost to the jukebox man
Well he worries his teacher till at night she's ready to poop
From rocking and a-rolling spinning in a hula hoop
Well this rock and roll has got to stop
Junior's head is hard as rock
Now, junior, behave yourself

マガジンスタンドでロックンロールの雑誌を買いあさり
手に入れた10セント硬貨は全部ジュークボックス行き
夜まで心配のかけどおしで、先生はもうクタクタさ
ロックンロールとフラフープでグルグルまわってる
あいつのロックンロールを止めないと
坊やの頭は岩みたいにカチカチ
おいおい、坊や、お行儀よくしなよ

Past Masters

Past Masters

*1:その替わりバラードの名曲を量産した