- 作者: 高野秀行
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/11/19
- メディア: 文庫
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高野秀行の本はたくさん読んでいるが、これは未読だった。腰痛とは縁がないと思っていたからだ。それが怪我の後遺症で腰痛持ちになってしまったので、何らかの有益な情報を求めて読んでみた。
辺境探検作家として有名な著者が腰の痛みに耐えかねて国内の名医を探すという展開が面白い。どんな名医に出会っても完治しない絶望が伏流しているので、文体が娯楽小説のテーストなのに読んでいて身につまされる感じがある。この本に登場する医師・施術者はほぼ全員、善い人だ。僕程度の軽度の腰痛なら最初の先生の施術で完治しただろう。
しかし高野氏の腰痛は筋金入りの難物だった。カリスマ達に為す術がなくなり、満身創痍の高野氏は痛みのない世界を求めて、ひたすら放浪する。西洋医療と東洋医療を何度も往復し疲れ果て、青い鳥のエピソードを思いだし、近所の普通の整体院に最後の望みを託すところなど、手に汗握る展開だ。ノンフィクション作家が自分自身を題材にしたとき、ここまでスゴイ文章が生まれるのか。
カリスマ施術者にも整形外科の権威にも匙を投げられた高野氏がどうなるのか・・・ それはぜひ読んで確かめて欲しい。
目次
- プロローグ
- 第1章 目黒の治療院で“ダメ女子”になる
- 第2章 カリスマ洞窟の冒険
- 第3章 民間療法の密林から西洋医学の絶壁へ
- 第4章 会社再建療法
- 第5章 密林の古代文明
- 第6章 腰痛メビウス
- 第7章 腰痛最終決戦
- エピローグ 腰痛LOVE