血統評論の大御所、山野浩一さんが死去されました。享年77歳
オグリキャップによる競馬ブームと、ファミコンソフトのダービスタリオンの大ヒットによってサラブレットの血統に関心を持つ人の裾野が大きく広がりましたが、それ以前の血統に関する情報発信は山野浩一氏が一手に引き受けていた感があるくらい、日本の血統評論の始祖といっても大げさではないぐらいの競馬界の重鎮でした。
初めてのボーナスで浮かれて初めて買った馬券がビギナーズラックで大当たりした縁で競馬に興味を持ち、そのタイミングの頃に発売された血統に関するある本に触発されたのと、世間と同じようにダービスタリオンに嵌まったのを契機に血統研究に勤しむようになりました。
その当時、インターネットはまだ存在していなかったのですが、パソコン通信(ニフティサーブ)は始まっていました。そこで競馬フォーラムに出入りして、そこから派生した馬事文化を扱う「競馬文化フォーラム-FHCUL」の血統会議室に入り浸るようになり、最終的にはそこのボードオペレーターを任じられるまでになりました。
黎明期のコンピュータネットワークですので、パソコン通信に親和性があり、なおかつサラブレットの血統に興味があるという二つの属性がある人はすべてそこに集まったといっていいほど濃いメンバーが集積しました。その濃いメンバーの中で会議室の運営メンバーに参加したのですから、今から思うと「若さ故の過ち」みたいな感じでしょうか。
そういう濃い人の集まりでしたので、山野浩一氏の直接の知り合いという人も参加していました。山野氏自身は一度だけカキコミをしただけでしたが、お弟子さんであるH氏や、血統事典を共同編集していて、後に馬事文化賞を受賞された吉沢穣治氏とも知り合いになり、実際にオフ会で語り合ったこともあります。
現在、血統評論のフロントランナーである栗山求氏や望田潤氏といった競馬通信社出身のお二人も山野氏の血統事典を穴が開くほど読み込んだということですし、近年のサラブレット血統評論の源流を遡れば必ず山野氏を経由することになります。
1992年から2003年ぐらいまでの私は、趣味のメインがニフティサーブを拠点に血統に関する文書を書くこと、愛読書は週刊競馬ブック、世紀が変わってからは、黎明期のブログに血統に特化したコンテンツを日々投稿するという絵に描いたような「血統オタク」でした。
間に極貧時代があった関係で趣味としてはおわりましたが、現在でも勝ち上がった馬の血統表は必ずチェックをしてPOGを中心に相変わらず競馬を愉しんでいます。
ニフティサーブの競馬文化フォーラムの想い出と、血統について考察してある種の結論に達するまでの紆余曲折は、本を一冊かけるぐらいの情報が脳内に残留しているわけではありますが、今の生活方針である「過去を極力振り返らない」というポリシーに反するので、昔語りは止めておきます。
山野浩一さんのご冥福をお祈りいたします。
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