- 作者: Pha
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/06/21
- メディア: Kindle版
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kindleで50%還元セールをやっていたので購入。id:phaさんの処女作はスッキリしない箇所が多くて、その後の著作は読んでいなかった。しかし、この本はとても肌に合った。
著者は組織で働くことが苦手だという一点を除けば、ハイスペックな人だ。人をビックリさせるようなプログラムを書くことができるし、京大卒という学歴も輝かしい。対人関係も臆することなくシェアハウスを主催したりしている。
そんなスゴイ人なのに、この本の内容の半分ぐらいは「僕が書いてもおかしくないというか、すごく似た価値観」で満たされている。最初から最後まで一人称で特定の第三者の影がまったく感じられない。フラフラとあてもなく旅に出るけれども、観光地を積極的に巡るわけでもなく、安ホテルでボンヤリしているのが好きという点なんて、僕とそっくりだ。
基礎スペックが高いのに、自分固有だと思っていた考え方や嗜癖が似ている人が実際にいるという事実が嬉しい。こういう人と巡り会いたいし友達になりたい。もっとも自分の下位互換みたいな人を積極的に友達にする理由が、向こうにはないだろうけれども・・・
相応の知名度があって著作が5冊もあって、組織不適応ギーク界のカリスマみたいな人なのに、虚栄心とか社会に対する怒りみたいなところがカケラも感じられない。そのアンバランスさが、phaさんの魅力の源泉なのだろう。
文体が萩原魚雷さんに少し似ているところも加えてよい。あと三冊の著作が未読なので全部読みたい。