関連書籍が売れてアドラー心理学がブームだ。フロイト・ユングに並ぶ心理学三大巨頭の一人なのに、日本では著しく認知度が低い。それが見直されているということらしい。
アドラー心理学はトラウマを過大視するフロイト派とは対立するものだ。過去の原因が現在の心理状態の決定的要因だとは認めない態度は、東洋思想に通じるものがあり、原因と結果を重視しすぎる西洋医学重視の日本の心理学・精神医療においては居場所を得にくかったようだ。
原因に過度に説明を頼らないで「今」をどう考えるかというのは、最近の僕の考え方にもとても合う。あと過去の呪縛に囚われすぎの人たちへの光明を差し出せるという意味でも、アドラー心理学は欧米同様の地位を日本でも得るべきだかんがえる。
過去が今の原因であるならば、ある側面では非常に救いがたい。済んだことは変えようがないからだ。ただ過去をどう捉えるかは「今」の問題であって、解釈自体は可変なのだ。だから何でも過去に責任転嫁するよりは、アドラー的な考え方の方が救いがある。