わかりました あきらめましょう。

私は進歩しない 旅をするのだ

率直さの大部分

自分について語りたい、そして自分の欠点を、人に見せてもいいと思う面から見せたい、という欲望が、われわれの率直さの大部分を占めている。

我々がブログで吐露する己の欠点・弱さは少なくとも率直と思われたいという虚栄心に過ぎない。それに本当の欠点や弱さ・醜さを我々はひた隠しにする。開示された弱さの背後に何が潜んでいるかを勘ぐる疑り深さが必要だ。

メンヘラー系というのはある意味において一つ残らず欺瞞である。装った欺瞞の奥に隠れていて、時に隠しきれず零れ出す本音こそが、多くの他者が読みたいと欲しているものなのである。

本当の嗚咽が伝わってくる文章には滅多に遭遇できない。ブログが普及していない時代の日記サイトには露悪的なほど自虐的なテキストがあった。その作者の多くは実際に自らの意志で逝ってしまった。昨今、ネットがパブリックなものになってしまったので、本当の意味の私的な日記は、その存在を消した。特にはてな界隈に真の心の闇を吐露しているテキストはみつからない。

我々は自慢を文章化することを恥じる謙虚さを持っている。裏返して自虐は謙虚さの表明という側面がある。形だけの自虐、炎上目的の自虐、傲慢とは思われたくはないが自分について書きたいという欲求を満たすために、自虐ネタが書き散らされる。

面識もない人間に率直さを披露するって、普通に考えれば背後によこしまな気持ちが伏流しているわけで、違う側面から冷めてみてみると、相当に気持ちが悪い。そんな気持ちの悪いテキストを長年垂れ流して馬齢を重ねてしまった俺、誠に遺憾に存じます。などと、今日も率直パフォーマンス。

ラ・ロシュフコー箴言集 (ワイド版 岩波文庫)

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