野咲良氏のトークセッションの備忘録のその2です。
Strawberry Fields Foreverはまったくキーもスピードも違う二つのバージョンをジョン・レノンの要望でジョージ・マーティンが力業で一つにまとめたというのが定説というか伝説になっています。どうやらそれが違うらしいというお話しです。
上記のバージョン3と呼ばれるトランペットとチェロで構成された、正規テイクの後半で使われた箇所ですが、これは最初からバージョン2の完成品であるTake7に繋げる目的で録音されたというのが正しいようです。ジョンが無茶振りをして、ジョージ・マーティンがなんとかしたというのは事実に反するのですね。
この曲の冒頭がファンファーレ的な雑なスコアになっているのは、最初から使わない予定だったから、というのがその理由です。さらなる証拠に、このバージョン3に乗せたジョンのボーカルが歌詞の1番を飛ばしています。最初から繋げる目的なので1番を唄う必要がなかったからです。
会場から「それであるならば、なぜバージョン3のキーとテンポが2と違うのか?」という質問が出ました。バージョン2 take7のキーはB♭(演奏はAで録音)、バージョン3はCです。チェロで出せる一番低い音がCなのがその理由、回転数を落としてB♭にするためにテンポも変えたという、これまた説得力のある説明でした。
デビュー時の逸話もそうですが、ジョージ・マーティンの発言や著書が出典の伝説には事実と異なる点が多いようです。このあたりに関してはマーク・ルイソンが刊行中の伝記でさらに明らかになることでしょう。
完成バージョン