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わかりました あきらめましょう。

私は進歩しない 旅をするのだ

ぼくのふれんど

大ブームを巻き起こした低予算アニメ「けものフレンズ」が終わりました。主題はピュアに「友情」でした。テンプレート化した物語に食傷気味のアニメ業界で、友情というすべての人々に訴えかける物語を上手く表現できたこの作品は、一つの橋頭堡となったはずです。幼い頃の意味も無く自分の友達を大切に誇らしく思えた誰にとっても綺麗な記憶を喚起させることができたから、大きなムーヴメントを起こすことができたのだと考えます。

様々なメデイアミックスに失敗して、敗戦処理的に生み出されたアニメが、これだけ世間を騒がせるのですから、創作の世界は奥が深いです。最初誰も期待していない作品だったこと、絵柄的には子どもに喜ばれそうな愛らしいキャラクターデザイン、低予算ゆえの若干ぎこちない3Dの動きといった視聴者の敷居がかなり低いところからスタートし、徐々にEDを始めとした微かに漂うディストピア感に一部の敏感な人たちが気づき、回を重ねる毎に多くの人たちが創り手に対するリスペクトを高めていく流れも興味深いものでした。

作品全体に不思議な磁場みたいなものがあり、設定の瑕疵や声優の演技等に疑義を感じることが強く阻害されていて、毎週発行される絵本を楽しんで繰り返し読んであっという間に最終話にたどり着いた感じです。冷静にみればED歌手が声を担当したスナネコなんて下手です。しかしリアルタイムで観ていて、それが全く気にならなかった。それがスナネコなんだという謎の説得力がありました。サーバルだって蝶ネクタイをした猫耳美少女なのに「あざとさ」という感覚が一度も生じませんでした。

創り手の才能が一番でしょうけれども、プラスアルファとしてマイナスをすべてプラス要素にしてしまうミラクルな何かが確実にあった作品なのでしょう。個人的には、ひどい怪我をして痛みに苦しんでいる時期に毎週心を癒してくれたこの作品に感謝したいです。

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