文豪トルストイの名言
幸福はどれも似たものだが、不幸はいずれもそれぞれに不幸なのである。
常々思っていたのだが、これは逆ではないだろうか。不幸こそ似ている。Q&Aサイトをみても悩みの大半は非常に類型的だ。そして精神疾患者の苦しみはそれこそ判で押したように似ている。
「妄想」という漢語の印象から、私たちはそれを「想念が支離滅裂に乱れる」状態だと思いがちであるが、実はそうではなくて、「妄想」が病的であるのは、「あまりに型にはまっている」からである。
統合失調症の訴える苦しみは、コピペしたものが広まっているのかと思うほどそっくりだ。「集団ストーカー」という妄念に苦しんでいる人たちのどれだけ多いことか。また境界性パーソナリティ障害の行動も判を押したようにそっくりだ。リストカット・オーバードース・自殺未遂・隣人への激しい怒り。
精神疾患じゃなくても、不幸は「孤独」「貧困」「他者恐怖」「病苦」由来が大半で、その苦しみの内容も似たり寄ったりだ。そしてその不幸への対処法もだいたい決まっている。健康で裕福で対人関係が良好な不幸な人というのは、あり得るのだろうか。僕には想像がつかない。
対処方法はわかっているのに不幸は消えない。その消えづらさに対する絶望こそが、「不幸」とよばれる概念なのだろう。
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